なにこのダセェ手帳。いまどきディズニー?


『あんたが時間も日にちも守らないからでしょ。受け取りなよ』


真っ赤かよ・・・・


『あんたに似合うかどうかなんていちいち考えてないっての。買うときに。』


何の罰ゲーム?


『とりあえず明日、仕事終わりにカラオケ行くからね。メモっといて』






半分こしたキットカットをくれるのはいいけど、手に付いたチョコを助手席のシートになすりつけてたし。

ポッキーだって、チョコついたとこだけ食って軸の部分だけオレに笑いながら渡してきたし。

一回、仕事中だってのにすげぇヒール高いの履いてきて、案の定階段でコケてヒールの部分だけ綺麗に折ったし。

立ち食いそば、ネギ山盛りにするわりにはいっつも俺より食うの早かったし。

まあでも、かろうじて歯紅はしなかったな。



『天気がいいから』

噴水の縁に腰掛けて昼飯食ってたときだって、脚組んでカッコつけて高い店のサンドイッチ頬張ってた割には、ジャケットのベルトの先が水に浸ってた。

『う、うるひゃいわね、イャケットおヘルホはっへ、のろかあいへはんひゃはいほ?!』

なんだそれ。そんな言い訳初めて聞いた。


面白い奴だった。



・・・なあ、なんで過去形?

なんで俺の隣に居てくれない?

なんで俺を飲みに誘わない?




お前の手帳、俺と色違いだったんだな。シュミ悪いな。



このネイル、高かったんだよな?肌の色にあわせたんだよな?


・・・


なあ、なんでこんなに肌色わるいんだ?


小学校のプールに忍び込んで入った?


なんで髪の毛に赤黒いもんがこびりついてんの?


ふざけてケチャップでも被った?




「お前・・・こんな口紅の色、好きじゃないよな・・・?」




どこのババアだ、こんなどぎつい色の塗りたくりやがって。


アイラインもチークもハイライトもなってねぇ。

眉なんて、20年前のアイドルじゃねえか。



酷い。

酷すぎる。




アイスの棒で墓を作ったのはいつ以来だろう。



なんであいつはこんな姿で冷たい箱の中に放置されなきゃならねぇんだ。


寒いじゃんか。


狭いじゃんか。






アイツ、暗いとこ苦手なんだってば・・・・・・・



燃やしてくれよ。

早く!!


強張り、冷え切った唇は、鉱物油と古臭い香料と、きつい消毒液の味がした。